あの感覚

2011 1月31日

ついに納品。直接クライアントの肖像を描いて渡す。なかなか緊張感のある作業だ。経験不足からいろいろ困難なことが多かった。それでも作品は一瞬で出来たし、何度も描いたけど二度と描けなかった。生きているものをつかまえて、生きている自分をもつかまえるのは困難なものだ。生きた人間を描き、生きた空間に配置して、はじめて生きた作品になる。生きた値段でやりとりをする。こんなあたりまえの仕事の前にずいぶんややこしいものが邪魔をしていたものだ。クライアントには感激してもらえたし、じぶんにとって大事な経験だ。十年後も描かしてください、といって握手をしてわかれた。次の日も営業し何人かの猛者に了承を得る。しかし中には、自分が絵を描かれるにふさわしい人間になってからにしてほしい、という人もいた。人間に接近して自分のリズムで濃密なやりとりを交わす。

ああこれだ。いつかのヒリヒリしたあの感覚が戻って来た。