かっこいい人

2018 9月19日

有名人が次々に死んで。

樹木希林さん。ゆうきさんの頃はかすかに覚えていて、喜劇俳優のような印象だった。あの頃は裕也もカッコよくて、映画俳優の尖り方や都知事選のパフォーマンスに一目置いていたから、なんであんな女性と結婚してるんだろうと不思議だった。それが時代を経て、なんであんな男と結婚してるんだろうに変わった。裕也は型だけでなにも変わらず滑稽になってゆき、希林さんは型も捨てて自然に帰るように凄みが出てきた。

がんを患ったあたりから、顔つきが変わった。あれは想像しがたい絶望や孤独を経てたどり着いた顔だ。そしてどんどん綺麗になった。軽くて明るかった材木が、亀裂や節や虫の食べた穴などができて朽ちてゆくように。美とは人間性が滲むものだなと改めて思った。

カッコいい人だったな。

山本KIDが死んだ。

格闘家として若かりし頃の鮮烈な印象が強く、最近は堕ちてゆくようで悲しかった。またやってくれるんじゃないかと期待を持っていたのに。調べてみれば彼はそんな簡単な人生でないことが伺える。格闘エリートの家に生まれ、アマレスでオリンピックに行けなくなって、プロ格闘家に転向し成功したが、またもう一度アマレスに挑戦するが失敗。そこからヘルニアや怪我や団体の転向やら何やら離婚やらでずいぶん大変だった日々が長かった。こう見ると大変な時代の方が圧倒的に長い。それでも再婚し幼い二人の子ができたのにこの結末は辛い。

ただ自分はいい頃の彼だけを思い出し、一杯捧げることにしたい。

あんたもカッコよかったよ。