こーちゃん1

2011 9月16日

こうちゃんを描いた。

こうちゃんこと恒石浩二は小、中学校時代の俺たちの番長だ。少年のような愛嬌と男っぽさを持った魅力のある兄貴。それがこうちゃんだ。弱いもんには優しく強いものには立ち向かう。そんな姿はまぶしいものだった。後輩の男たちにも慕われていたし、教師にもある意味信頼されていた。他の学校でも一目置かれる大将。そんな男を大人になってあらためて描くという行為は感慨深いものがある。たまたま夏の同窓会で再会して一気に話が進んだ。

取材制作は自宅で行われた。ガレージの赤いスポーツカーがしぶい。玄関には黒い革ジャンが何着も並んでいて、奥の自分の部屋には黒の750ccのバイクが飾ってある。壁には永ちゃんとブルースリーのポスター。傍らにはギターが三本並んでいた。

二十三で結婚、一男二女をもうけた。しかし離婚して奥さんが家を出た。そこから男手一つで三人の子供を育てた。仕事をしながらの子育ては大変だったろう。そんななかでも筋が通らないことは納得できず、仕事はいくつも変わったと言う。もちろん子供のために時間も休みも選べる仕事ということもあったらしい。とにかく家族が大事。そんな姿が窺えた。それはやはり中学時代の番長だった頃といささかも変わってない。いかんことはいかんというき。手もあげたこともあったわ。この子らあが大きゅうなるまで再婚らあできんわ。そのかわり大きゅうなったらすると言いゆうきねえ。長女が19歳、次女が15歳、長男が13歳だ。そうこう言っている最中も子供たちは二階から下りて来てにぎやかになった。こうちゃんには伝説も多い。隣の町から授業中殴り込みに来て返り討ちにした。学校でレイバンのグラサンをかけていた、などなど。いやあれは卒業生でねえ、俺らあの後輩とかかつあげされちょって頭にきてよ、そいつのバイクにしょんべんかけて果たし状つっこんじょったのよ。ほんで三人で学校にバイクで来てよ、顔出したらいきなり殴られてねえ、側にあった木の棒でめちゃめちゃに返り討ちしたら頭から血出したき膝蹴り食らわして壁にぶん投げたのよ。グラサンはねえ、兄貴にボコボコにされてよ。かっこ悪いき青タン隠すためにかけていったのよ。 いやあ、すごい。(笑)