さようなら

2009 8月17日

こっそり飼っていた猫が逃げた。高知に帰るときに作品や荷物を豪雨の中必死で出していた。ベランダに閉じ込めていたはずが、こじ開けて玄関から逃げたようだ。猫が階段を五階も降りたら、上がってきてこの部屋を探すのは不可能だろう。しばらく近所を探したが見つからなかった。嫁さん家族とは十年近くのつきあいらしい。たった一、二ヶ月だったけど俺もすっかり愛着がわいた頃だった。

さよならは突然やって来る。

ずっとベランダから下を見ていたからな。人間の一方的愛情に関係なく、自然に帰っただけだ。でも結構さびしい。家畜なんて言葉は嫌いだしペットなんて言葉も気に入らない。もともと自然の生き物だろう。人間がきちんと管理しなければならないという論理の裏には、コントロール出来なければ粛正してもかまわないと言う論理がある。なに言ってるんだ。人間だって自然の生きもんだろ。俺たちと猫は平等なんだ。猫は猫の生き方がある。自由を選ぶ権利がある。さびしいけど、さようなら。

機会があったら、また会えるさ。