のこるもの

2014 5月16日

今回作品が四メートル近くあった。しかも設置面がレンガで工事が必要になった。まあそのかいもあって迫力ある展示になった。

人をずっと描いて来た。墨で。恐い顔、味のある顔、男ばかり描いて来たような気がする。男の人に見せたいという指向があったのだろう。美術の世界の人にだけ目がいっていたが、それも昔の話になった。

今回は不特定多数の大勢が常に相手になる。テーマ的に具象でやるのはすぐに決めていたが、こうなると表現主義的な手法が邪魔になる。内容が見えなくなる。

写真があるから具象画が廃ったというが、それで抽象画が絵画の本道であり芸術だとは言えない。スーパーリアリズムは写真には勝てないが、あれとは違う写真にはない、現代のリアリズムの絵があるんじゃないかと思い始めた。

芸術なんてものはないと思うようになった。芸術的な嗜好の商品を好きな層がいるだけで。

残ってゆくのは芸術的な理由ではなく人の心を揺さぶったものだけなんだろう。