ものがたり

2011 12月5日

Kは良くも悪くも大学時代最も印象に残った友人だった。「あいつはお前とつきあったけどお前は親友だから」そんな風に言ったKのことを今も思い出す。荒れ狂いヤケになった時期もあったが、大学時代に別の女性と付き合い、いろんな女とやりまくっていたが結局その彼女と一緒になった。

彼女のことはずいぶん引きずり苦しんだ。そして十三年ほど時が経った。突然あの彼女からメールをもらった。皮肉なことに自分の結婚式の直前だった。返事はしなかった。

彼女の思い出はいつも喜びと同じ位痛みを伴った。嫉妬という気持ちをあんなに持ったこともない。それはkとのことが要因なのか、彼女だからそうだったのか、自分がガキだったからそうだったのか、今となってはわからない。

結婚して何年かして疎遠になっていたkと再会した。彼とはひどい終わり方をしたが「ひさしぶりじゃねえか」といったKは相変わらずだった。彼はいっぱしのライターになっていた。彼とは嫌な話はまるでしなかった。俺はどこかで悪いことをしたと思っていたが、どうしても謝れなかった。聞きたくないことも聞いてしまいそうな、そんな気がしていたからだ。それでもあの彼女の話になった。結婚して子供が二人いること、旦那さんは変わり者の地方の新聞記者であまりうまくいってないようなことを言っていた。子供がいることにほっとした。あの頃自分は結婚も子供もごめんだった。

俺は結婚した。みんなそれぞれの人生を歩んだ。