ジョン、マン

2013 9月24日

司馬遼太郎の新作はないので津本陽の本読んだ。

驚いたのが「椿と花水木」のジョン万次郎だ。高知の出身で漂流してアメリカで英語憶えて帰って来た人。まあそんな印象だったがとんでもない。貧しい農民の子供で学もない。そんな少年が勤め先の漁船で漂流し、アメリカの捕鯨船に助けられ船長に気に入られてアメリカで養子になる。日本に帰ると死罪になるかもしれない時代だ。この国で行きてゆく術を見いだそうと必死になって勉強して文字も知らなかった男が英語・数学・測量・航海術・造船技術を学びオックスフォード学校も主席で卒業し、養父と同じように航海士を目指して一等航海士になる。 背は低いが快活で利発、誰にでも気に入られる性格の彼はアメリカ人にも一目置かれる。そしてアメリカの女性と結婚して船乗りとして出発する。

3年の公開を終え帰国した彼は妻が事故死したことを知る。 悲観にくれて日本に帰国した彼に待っていたのは、罪人の罪より重要な西洋の知識と見識を求める日本人がいた。あれよあれよと言う間に各藩に引っ張りだこになり旗本にまでなったが、そんな彼をねたんだりスパイだと不審がる日本人の狭い世界があった。教授になった彼は本当に幸福だっただろうか?実力だけで認めてくれるアメリカの民主主義は眩しい。

男気と頭脳を持ったこんな男は、海の男がふさわしく思えてならない。