スピルバーグとキューブリック

2005 12月9日

スピルバーグの宇宙戦争を観た。映像がすごくてほんとうに圧倒された。なんだあれは?ほんとに体験しているとしか思えない。視覚的には来るところまで来た感じだ。

それで改めて思ったけど 、やつはデビュー作の「激突」なんかまさにナンセンスな暴力と恐怖しかない。あれがやっぱり原点だろう。あとはちょっとした意味付けのある映画ばかりなのが誤解を生んでいる。意味なんか求めてはいけない。もともとナンセンスな作家なんだから。だから「1941」なんか作る。でも受けなくて、すこし意味のあるものを作る。中身がないなんて言ってはいけない。あるわけがないからだ。意味のない恐怖とか興奮そのものがテーマなんだからね。「プライベートライアン」なんかライアンがなんなのかまったく覚えてないけど、銃弾の音とかははっきりと覚えている。ちょっとシリアスなロバートアルトマンってのが正体か?

ちなみにキューブリックはやはりドキュメンタリーのフォトジャーナリストだろう。宇宙の果てでも中世の貴族でも基本的に人間が乾いててドライで映像がすごいと言うけれど、ドキュメンタリーに誇張した演劇は不要だ。正確に表面を描くことが内面も伝えると確信していたはずだ。だから「シャイニング」の恐怖はリアルになる。「2001年」で人間が機械のようだと馬鹿なことを言ってはいけない。宇宙飛行士がリアルに反応しているだけだ。人間的内面を描くとテーマからずれるから当然だ。ドキュメンタリーなんだから。

それでキューブリックが「E.T」なんか撮ってたらすごいことになってたろうな、などと思う。撮るわけないか。(笑)