デッサン

2006 3月23日

デッサン。この国ではこいつがやっかいな問題だ。

まずわれわれの中に見慣れた風景からああいった立体でものを捉えようという視点がない。思想がない。それを近代化のとき文化的に劣ったことだと判断したことが今の問題を生んだ。美大の受験で強引に西洋のデッサンの基礎を学ぶと、その後その手法の延長線で当然作品を作る。しかし平面的な生理に当然合うわけもなく、完全にモチーフをアカデミックな骨格の白人にするかヨーロピアンな風景を描かないと破綻する。未熟なデフォルメで終わる。これは急激な近代化を行ったアジア諸国でもアフリカでもそうだ。関係ないよと油絵の手法で田舎の風景を描くと日展に出すような、あの独特の古くさいスタイルになる。抽象画は逃げに使われているだけ。だから西洋のアカデミックな美術教育を行っていることが、日本的な洗練したスタイルを生みにくい足かせになっている。これは見る側の日本人もそういった視点を持っているのでさらにやっかいなことになる。

マンガのようなところから新しい表現が出て来たのは、彼らがアカデミックな美術教育を受けていないからだ。皮肉なことに。まあ音楽でも優れたポップアーチストがアカデミックな教育を受けていないとこなんかみると同じ感じだろう。

だから無知がいいというつもりはないけど、教育ということが問題を生んでいるのがここでもあるわけ。ゆとりとか馬鹿なこといってないで。勉強しないってのもありだと思う。年寄りのいうこと真に受けてたらおかしくなるわ。