ヌードデッサン

2009 10月31日

ヌードデッサンを教える。それは別に珍しいことじゃあないけど、今回はおもしろいこころみをする。

モデルのポーズにテーマを与えることにした。

悲しみ、とか希望とか。なにも目的のないデッサンは技術の習得で終わる。やはり習いごとではなく、作品を作ってもらいたい。うまい、へた、の絵画から一歩踏み込んでもらいたい。

よく骨の構造から面をとらえようとさせるけれど、20分ワンポーズでは難しい。線で短時間に出来ることは限りがある。ここはシーレのタイプとクリムトのタイプに分類して指導する。つまり鉛筆をボールペンのように使うか、筆のように使うか、という方法に集約して説明する。日本人が西洋の技術で日本人を描くことには、本質的に無理がある。そこを整理、要約しなければならない。

もうひとつのこころみとして、モデルさんにもいくつか用意したテーマに沿ったポーズの中から選んでもらうことにしたい。そこで作り手も一歩踏み込むうえに、モデルも一歩主体的に参加して踏み込んだ、緊張感のある状況を作り出すことができるはずだ。「残酷」で自分のヌードを描いた作家として招聘されたので、出来るだけ自分流の解釈で一般的なヌードデッサンに切り込みたい。民間だから出来ることもあるだろう。