一事

2012 12月3 日

007がよかった。

ダニエルクレイグになってから精悍になって若返って間違いも犯すリアリティのあるスパイになった。ダニエル一作目は鮮烈だったが二作目はアクションが激しすぎて帰って単調な内容になったのを今回はしっかりと修正して来た。悪役もハビエル・バルデムでグレードアップだ。大人も楽しめる映画だった。

今後どういう作品をと聞かれたりもしたが、やっぱり人間を描くという一点につきるだろうか。秋山好古の「男子は生涯一事をなせば足る」という言葉が好きだ。自分を知る、から人間を描くになり、人間を知る、人間を追求したいとなった。凝った表現は真実を曇らせるからシンプルでいい。よく色は使わないのかと聞かれるが、むしろ邪魔くさい。いかにすればこの人間の本質を探ることができるかというのが最大の関心だ。現代美術は表現と言うものが亡霊のように人間から遊離して、人間が見えにくくなってしまった。人間から離れないこと、現実から離れないこと。表現よりも人間が主役であることを肝に命じている。

若い頃はそれをどんな方法でも表現してもいいと考えた。しかしそれは嘘だと知った。結婚より仕事を選んだ、なんて言葉も嘘だ。実際に人はほとんどなにも選べない。だから今は考えを改めた。

絵で人間を表現する。その一点で十分。