不眠症の女

2009 12月19日

絵巻というものは変わっていて一般の絵画という形式とは違って、ストーリー性の強いものだ。鑑賞の仕方も違う。巻いてみてゆく。映画や漫画に近いが、また違った形態だ。今ならかえってIPHONEなんかには向いてる気もする。

内容は多種多様で、有名人やヒーローの物語から、合戦、ラブストーリー、絵師の日常、風俗描写、地獄の物語、餓鬼の物語など多種多様だ。このあたりも映画や漫画に近い。おまけにカラーだ。当事の状況から言うとなかなか贅沢なエンターテイメントといえる。

なかでも興味を惹いたのが「病草紙」だ。さまざまな奇病を集めたものだ。「ふたなりの男」は性器が男根と女陰の二つある男で、昼寝してる最中にうわさをかぎつけた二人の男が衣服をめくってあざ笑ってる作品だ。「陰虱をうつされた男」まあ毛じらみをうつされた男が陰毛をそっているわけだが、その傍らで女が大笑いしているなんともいえぬ作品。「葉のゆらぐ男」女房の前で中年の男が口の歯がぜんぶゆるいといって口に手をつっこっむ。山盛りに盛られたご飯と間抜けな男の姿、責めているような女の顔が笑える。「口臭の女」中年の高貴な身分の女が口臭がひどい。あまりにひどいので男に逃げられてばかり・・・。「小法師の幻覚を生じる男」小さな小人の幻覚を生じさせる男。「不眠症の女」これも高貴な身の女だろう。皆寝静まっているのにひとりだけ眠れない。ひとりで指折り数えている姿は笑えない。

とまあ、これは中世の日本の作品なんですけどね。ユーモアに溢れているし、時代の記録、病理の記録としてもおもしろいけれども、あまりになにも変わっていない気がしてだんだん怖くなってきた・・・。