人を動かせる

2020 5月17日

文句ばかりな連中は責任を取らない。

自分のほうが優れていて正しい。だから俺の言うことを聞け、ということか。残念ながら頭がいいだけの人間が、社会を動かせるわけじゃない。がなり立てれば立てるほど聞く耳を持たなくなる。人間力がある人が動かせる。

そんなときに久しぶりに見たくなった番組がある。それは2008年放送のNHKのプロフェッショナルだ。そしてDVDを再生した。見たくなったのは吉田憲一という男だ。当時50歳。世界最大級の洋上加工船を取り仕切るファクトリーマネージャーだ。

1日500トンもの魚が処理され高い鮮度を保つ製品を作る仕事。スタッフはほぼ荒くれ者の外国人。1年200日は船上だ。30歳のときに仕事中に左腕を加工機械に巻き込まれて失った。2年間懇願して再び船上に上がった。妻子もいる海外でそのような過酷な場に再び挑んだ。船の上は酒も飲んではいけないし気が休まらないと言うが、負けたくないですからねと言う。腕を失ったときにも仕事が中途半端に終わることが一番気がかりだったと言う。厳しさもあるが優しさが垣間見える。そして口数は少ないが、芯が動かない。

これが人を動かせる人間だ。