出会う

2008 4月16日

その落語会の打ち上げで桂宗助師匠と話した。彼は人間国宝桂米朝さんの最後の直弟子だ。こんな機会はない、とタイマンでしゃべった。

そして次の日に、著名なコレクターの田中恒子さん宅に伺った。彼女は元は京都大学の住宅学の教授で大阪教育大学の学長までやった強者だ。美術コレクターとしても著名で、売れる前の奈良美智 や 村上隆のコレクターとしても知られる。出会いは関西でやった最初の個展の最初のお客さんという印象深いものだった。その後僕がやる個展はすべて観てもらって評価もしてもらっている。この前は田中さんの企画する個展にも招待してもらった。そして彼女の生活が作品という持論を確かめるべくお宅に、何人かで伺った。設計も全部田中さんのものでずいぶん居心地のいい工夫された邸宅だった。地位もあるのに気さくで太陽のようなパワーと陽気さが魅力的な人だ。家も作品のコレクションももちろん魅力的だったが、一番印象的だったのが、天井の片隅に張られていた生徒さんから彼女への寄せ書きが書かれた色紙だった。先生ありがとうと、何人もの生徒の言葉と似顔絵が描かれている。その時ふと浮かんだのが、父親のことだった。父は小学校の教師で最後は校長まで務めた人だ。家族とはいろいろあったが、生徒たちが遊びに来たことも何度かあった。随分いい加減でちゃらんぽらんなとこもあったけど、人間としては大好きだった。田中さんのお家にお邪魔してそんなことを思い出すとは思わなかった。そういえば彼女は背格好も年齢も僕の母親に似ていた。

面白いもんだ。