大事なこと

2010 6月24日

少し左官の世界を知った。いまはカリスマ左官みたいな人もいて、ギャラリーとかで発表もしている。ふうん。土壁に関しては基本的なことはわかったが、土を使うだけで土壁を作るつもりもないので、しっくい販売の業者にたずねたら一発で答えをくれた。

職人は尊敬してる。しかしアーチストっぽく自我を出す作品は稚拙でつまらないものが多い。これは現代美術で常日頃目の当たりにしている。誤解を恐れずにいうなら、純粋に技術者であることのほうが大事なことだと思う。一方いまのアーチストは職人的な技術よりセンスや視点を重視しすぎる。今は職人の体の世界とアーチストの頭の世界に分離している。ミケランジェロや狩野派の時代はこれが一緒に存在していたのに。まあさっきの話とは矛盾するけど、アーチスト側から職人に近づくことも職人からアーチストに近づくのも、実は歴史の流れでみれば自然なことかもしれない。あと、土を扱うとかでナチュラリストの思考がくっついて来る。案の定そんなお話もされた。ここはアーチストとの分かれ目かなと感じた。技術偏重は生命力をなくす。生命を生かすための技術でなければならないと思う。その生命力もナチュラリストの観点だと違ってくる。それもやっぱり頭の世界だろう。

坂本龍一でも何でも、たいてい自然を見る視点は都会の人間の視点だと思う。純粋に田舎に生まれ育ったものの自然観なんかマスコミを通じて聞いたことがない。自分は交通の途絶された完全な田舎生まれではないけど、あちら側の視点も持っているので、少し言葉にしてみたい。