年輪

2015 2月8日

カラックスの最新作「ホーリーモーターズ」を拝見。

あの「汚れた血」以来29年経った彼の今を見たかった。そして俳優のドニラヴァンも。

内容は現代のおとぎ話という感じで遠いところにいったなと正直思った。どんどんシンプルになった俺とは反対側だ。 愛が大きなテーマだったが、人生がテーマになっている。懐古する視点の変化もある。ただまっすぐじゃない。あのまっすぐさを愛していたのに。それはその真っすぐさで多額の負債を出して映画作り自体、もしくは私生活そのものに障害を与えた悔いがあるのかもしれない。人生、やり直し、そんなキーワードがこの映画からは浮かぶ。大江健三郎が障害のある息子を書き出したあたりから、文体や手法に難解さを与えだしたところと似ているのか?直視出来ない現実が手法の複雑さを生んでるんだろうか。どっちにしろそれは好きじゃない。難解じゃなくてごまかしだから。

ただドニラヴァンは素晴らしかった。精悍さは変わらず深い年輪が刻まれた。「モダンラブ」とともに疾走する姿を永遠に忘れない。

昔見たなんらかの作品を改めて見ると、若い頃の自分と今の自分がわかる。あの頃が良かったとも思わない。ただその変化は興味深い。