庶民

2009 1月8日

集団ということではブリューゲルも興味深い。

この人は特に庶民の生活という視点を意識して描いている。古典絵画などで集団を描いた作品は戦記物やキリスト教の宗教観などが反映された作品が多いが、この人は明確に庶民の側から描いている。「バベルの塔」を描いたことからもそこにメッセージをはっきりと読み取ることが出来る。そこにキリスト教的倫理観じゃない、一市民としての視点を感じる。ユーモアや皮肉はふつうの人間への愛に思える。そして岩佐又兵衛も庶民を描いている。浮世絵の開祖などと呼ばれていることからも言えるし、出自もなかなか生臭い。父は信長に反逆したとかで一族は虐殺、生き延びたのが又兵衛だった。そこで民衆を描くと言う意味も複雑な視点を帯びてくるじゃないか。

集団を描くというモチーフはこの時代では珍しくない。しかし庶民たちを描くというところが重要だ。絵描きなんてのは権力者が歴史的にパトロンであることが少なくないから、自然内容まで権力者に媚びなければならないことが多いからだ。まあ今の美術もやはり同じになりつつあるけれど。

しかも日本とベルギーの交流がほとんどないこの時代、同1500年代に二人は生きていた。おもしろいね。