拓郎とその時代

 2022年 9月3日

 吉田拓郎が引退するという。
自分がものごころついたときには全盛期を過ぎていた。唯一大好きだった曲が「流星」で、あとであの吉田拓郎だったとわかったくらいだ。なにか怖い存在で、どちらかというと初期のナイーブな長渕剛が好きだった。長渕は拓郎の男っぽさに憧れてたんだろう、弟子のように拓郎にくっついていた。それが次第にマッチョな男になってゆくとは思わなかった。彼の男らしさは表面的に思えた。それから気持ちが離れ、改めて拓郎を聞いてみたらとても共感するものがあった。それは当時の若者が思ったように、自分を代弁しているような親近感だった。
 前世代に対する共感がとても多く、大島渚も寺山修司もなにもかもあの熱い時代の文化が好きだった。まだ自分たちの時代にはその名残があり、イデオロギーを捨てた熱さがあった。次第にそれがバブルの時代に入り、そのあとスカスカになってついていけなくなる。
 吉田拓郎は自然体だ。あの頃は鬼気迫る熱さがあったが、がんばらなくてもいいと今は歌い、引退するという。型を優先しない。内面に正直な人だ。
それがとても響く。