描く

2008 6月18日

自由に絵を描くとは言ってもこれは難しい。大体が過去の延長に過ぎない。経験している以上のことは出て来ない。だから自動書記とかスピードを変えて習慣を変えるとかする。ピカソはいろんな様式を混在させたり、異物を入れるのが平気な人で、意識してやっているのと、毎日連続して描いてることがやや自動書記になっていてすごい。子供の絵は色彩とか空間認識に現実の約束事からはなれた飛躍があるので興味深いが、個性を感じる自我が育っていないので、作品まで至っていない。障害者が描く絵も少しこれに似ていて、とてもおもしろい捉え方をしてるんだけど、自我が希薄で作品としては弱い。それと同じ箇所に障害があると同じ表現になるような傾向がある。ゴッホは様式がかなりしっかりとしていて、方法論も確立している。その上でタッチとか色彩が鮮烈だけど、構造は破綻していない。浮世絵を模倣したのは安定した様式と言う意味でも繋がっている。自分は毎回構造を少しずらしつつ、その上で自動書記をやるみたいな感じだ。いつも描いてると惰性になるので、ある程度エネルギーとか方向性がはっきりしないと描かない。慣れて描くとうまくなる。これが危険で、技術に偏ると途端に生命力がなくなる。デッサンとクロッキーは得意だったので美的に収まる傾向を食い止めるのが大変だ。できたらキワキワの所を攻めたい。ときどき持ち方を変えたり、長い筆にしたり、粗雑な筆にしたりする。それでもうまくなると、いったんやめることにしている。