汚れた悲しみ

2011 12月4日

汚れちまった悲しみに。

中原中也と小林秀雄と長谷川泰子の関係は興味を引いた。中也は年上の元女優と背伸びした恋愛ごっこにひたった。そこへ小林秀雄が入って来て泰子は小林の元へ走った。ドラマでは中也の役を三上博史、小林を古尾谷雅人、泰子を樋口可南子が演じている。小林の元へ走ったことを中也は責めず、むしろ笑顔で見送った。しかし実際には「悔しい人」になり一人詩の世界にはけ口を見いだしたようだ。泰子も小林と一緒になったことでしだいに狂ってゆく。壊れてゆく。それを中也は責めた。おまえが悪いからああなったんだろう、と。奔放な泰子は若い学生とできてしまったりして小林の苦悩は続く。別れると言ったときの中也の怒りは凄まじかった。冬の雪の夜路上に小林を引きずり出し殴る。「あいつは俺たちのマリア様さ。純粋な魂の結晶なんだ」だからそんなこと言うなよと、泣いて懇願する中也に小林は吐き捨てる。「純粋な魂もまっぴら。もううんざりなんだよお前さんには!」逆上して殴りつける中也。小林は「絶交だ。二度と俺の顔を拝むな!」と言い去ってゆく。

あのドラマを見ながら自分も昔の出来事を思い出していた。