田中泯

2009 1月19日

田中泯(たなか みん)を知ったのはひょんなことだった。

先日の一光君の舞踏を見て土方巽を検索したときのことだった。弟子の一人に彼の名前があった。変わった名前だな、と思ったら見たことがあった。NHKの「ハゲタカ」に出ていた、ものすごい存在感のあるあの初老の役者じゃないか。彼は本来役者ではなく舞踏家であることも知った。youtubeで映像が出ていた。なんでも山梨で農村を開いている。身体に強いこだわりがある彼がそうなることは、すぐに理解出来た。若い弟子にむける眼光の鋭いまなざし。

「お前は嘘をついた」そうつぶやいた彼の言葉は重い。

師匠の死んだ年齢を超えてやってみたい事があったと言う。井戸を掘り始めたのだ。なんと10メートルもツルハシで掘り続けている。なぜここかというと「勘です」という。「師の土方が死んだ年齢を超えて自分に冒険を課したかった。人が生活する上で最初に必要な水を自分の手で掘って残したいと思った」そう言う。最後に水が溢れてくる映像は感動する。若いガキがこんなことをやっても酔狂にしか見えないが、彼の年輪がリアリティを与えている。

「 踊りを探し続けること。踊りをこうだと決めた途端逃げてゆく」

彼はそう言った。