絵を描くということ

2005 12月8日

自分をさかのぼると歴史のつきあたると村上春樹は言っていた。「ねじ巻き鳥クロニクル」のときだ。彼は今はまた別のステージに向かってるようだけれど、今の自分にはとても気になる話だ。なぜなら古い友人たちと連絡がついたことで昔の自分を思い出しているからだ。村上の場合は社会的な歴史だけど、僕は寺山修司ではないけれど個人的歴史を引きずり出そうとしている。

絵は不思議なもので幼児期には誰でもかきなぐる。しだいに教育され表現から教養に化けるのだけど、本来そこには人間の根源的な表現がある。そして成長しても表現としてかきなぐっていると、ある種幼児期と繋がる何かを見るときがある。(これが教養として絵を奇麗に描いているとまた違う)

おもしろいことにある中年の男が記憶喪失から立ち直るときに絵を描き始めたと言う話がある。絵画にはそのような人間の根源に繋がる力があるようだ。確かに音楽や映像という文化は大衆と一致した娯楽と芸術として確立している。しかし頭の美術にはない、ただの絵画や彫刻にはやはり根源的力があると思うし日々感じることがある。それがなにか、死ぬまでに答えを見つけたいと思っている。