行きずりの街

2012 8月1日

なんかもう声色で人がわかる気がするなあ。

最近そう思う。内容よりそっち。しゃべり方とかね、艶っぽかったり、リズムが落ち着いてたり、間が良かったり、空気を発したりだ。内容のない奴は単調だ。役者ってのもそういうもんだろう。棒読みのアイドル役者はうんざりだ。

本とかもそうで、紙の雰囲気から厚さからなにから存在が出ている。絵画や彫刻もそうだ。存在が語る。役者ももちろんそう。最近は田中泯とかが好きだ。舞踊家だが役者としての存在感が素晴らしい。いや舞踊家だから役者として素晴らしい。言語で表現せず肉体そのもので表現した軌跡が毛穴からにじみ出る。そして彼の語りは深い。だからってわけじゃないが、日本映画でいい役者の映画が見たかった。大人の物語が。

「行きずりの街」は意外によかった。小西真奈美と仲村トオルの写真に惹かれた。よくスタッフを見ると、脚本に丸山昇一、監督に阪本順治、撮影仙元誠三、プロデュース黒澤満。ほとんど松田優作のスタッフじゃないか。偶然じゃないねえ。(笑)めっけもんは窪塚洋介。キテルねえ。小西と仲村のやりとりは良かった。映画の魅力。最初はぶーぶー言っていた妻もひきこまれたようで、また観たいと言っていた。バカな一時間のドラマばかり観て最近映画を観てなかったな。これを機にシブい映画でも観るとするかな。