観た

2013 2月4日

ようやく若松孝二の三島由紀夫観た。

期待した分もうひとつだったかな。大胆な解釈が出来ないのはわかるが、死が突飛な印象を受けるし、なぜ死んだかやはり不明なままだ。三島は三島であり誰にも演技演出は出来ない。

三島由紀夫の小説はノーベル賞候補にもなる素晴らしいものだ。一事よく読んだが、ナショナリストを感じる小説はほとんど読んでいないし感銘も受けていない。作品は現代的で普遍的、時代性も加味したもので、西洋文学の骨格がある。西洋人に理解されるのはそこで、右翼的なものは一切感じなかった。ただ彼は少年の頃ひ弱でマッチョに憧れていて、実際に中年になってからボディービルでマッチョになった。強い男性への表面的なコンプレックスがあり、作品もその部分は核になるほど重要だ。右翼も時代も表面的なもので強い男として完結したいという妄想を具体化する状況が出来たと言えるかもしれない。ただそのことであの優れた小説が読まれないのは極めて残念なことだ。

若松孝二は大島渚とあの時代を生きた。愛のコリーダは二人で作った。大島も若松もそこから離れたが、大島が倒れてから若松は晩年あの時代を掘り起こす作業に入った。連合赤軍も三島も彼のメッセージなのだろう。そして熱く猛る若者への共感は死ぬまで続いた。