貴重な体験

2011 5月23 日

美輪明宏さんの演劇に行きました。

妻が何度か観にいっていて、「私も変わった人くらいにしか思わんかったけど実際は違った」というので観に行った。まあ一度くらいは行きたいとは思っていたし。美輪さんはどちらかというと寺山修司のアングラ劇や三島由紀夫との共演、桑田の「ヨイトマケのうた」のカバーなど、間接的なおつきあいだった。オーラの泉や最近の取り上げ方は、マダムたちの趣味といった感じでそう興味もなかったのが正直なところだ。今回「愛の讃歌」を観た。エディットピアフの生涯を歌と劇で演じるものだった。最初は76過ぎで大丈夫なんだろうか、などと思った。これは失礼なものだった。そんなレベルではなかったからだ。歌もすごいと思ったがまだ観察する余裕があった。ピアフの人生はそのまま美輪さんの人生を歌うということも理解出来た。ここまでは理解できる範囲だった。しかし、だ。メインの愛の讃歌を歌ったときにわかった。すごい、と。それまでの歌は抑えていただけだった。テレビの姿はただの遊びだった。その生命力にまともに反応して体が震えた。距離があるのに美輪さんのからだがどんどん大きくなるような錯覚があった。すごい。舞台は三部構成で三時間以上あるものだった。見終わった後、その存在に少し「こわいな」と感じた。あれはまがまがしい異物だ。この世のものじゃない、本当の「見せ物」だ。

そんな貴重な体験だった。