似たひと

2010 3月8日

鉛色の空の下、俺たちは向かった。

今日は妻のおかあんさんの様子をお伺いしにゆく日だ。しばらくご無沙汰していた。トラブルメーカーのお母さんは、人恋しいがゆえに人が遠ざける癖がある。ここでは説明できないいろいろなことがあった。ひさしぶりにお会いした。

人が恋しいのかいろいろなことを話しかけてくる。「せいさん、よく来たね」そういって間髪をいれずにまくし立てた。とりあえず話がめちゃめちゃでも聞くことに徹した。嫁さんはむこうで掃除機をかけている。ときどき話しにうなずいてそれなりのやりとりをするのがコツだ。捨て猫のタマちゃんを抱いてうなずく。途中で話を聞きながらお母さんの顔を描いた。「せいさん、さすがに上手やね!あっというまやね」そういって感心している。これが健康にいいから、これもおすすめ。ひじきが体にいいから、一生懸命そんなことを説明する。タマは三毛猫の子猫だ。元気に手をかんだりはしゃいでいる。遊びつかれたら足元で丸くなってる。

タマちゃんかわいいですね。

そういうと無邪気に喜んで舌も滑らかになる。お母さん前見たときより元気そうですね。アロエがな、ええのよせいさん。そんなことを言ってアロエの効果を説明し始めた。

一通り掃除も終わって帰ることになった。外が寒いこともあったのか、妙に居心地がよかった。おかあさんの顔の絵と、タマちゃんを描いた絵を壁に貼ってあげた。

帰り際に妻に、

おかあさんは死んだおやじに少し似たとこがある。

そう言った。