かぜをひいて

2006 1月13日

いい機会だから奈良に取材をかねて仏像を見に行こうと思いでかけた。近畿は歴史的建築と仏像彫刻はとても豊富だからこれを鑑賞しない手はない。しかし興福寺は寒くて帰ってからしばらく寝込むことになった。

ただ寝るだけの中でよく夢を見た。幼い頃のトラウマ。犯してしまった過ち。子供の頃の世界観。なぜだかそんなものが代わる代わる現れた。あの頃は人の一生の長さなんか考えなかった。社会も世界もまだまだ未知で無限だった。瞳を閉じるとぼんやりとした綿か雲のような輪郭が様々な形態に変化して行く。背筋を寒さが走り抜けて普段はまるで意識しない皮膚感覚がはっきりとする。「そういえばずいぶん前にエジプトでウイルスに感染してこんな風に寝込んでたっけ?」あのときは傍らに誰もいなかった。まあ今回はただの風邪だったけど。すべての毒を吐き出したみたいでなんだかからだは軽くなった。熱にうなされて頭がリセットされて覚醒することだってある。外部からウイルスが侵入したわけだから内部が組み直されたともいえる。なぜだかピーターガブリエルとYMOばかり聞いていた。音色の特殊な音楽を聴きたかったようだし、敏感になってた。

病気も悪いことばかりじゃない。