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画家。人を描くことを主体に活動している。インスタレーションなどのダイナミックな展示から小品まで幅広い展示方法が特徴。主にシンプルな素材で力強い作風で描き上げる。近年では様々な手法で新しい表現に挑戦を行なっている。
人と対峙して描く「1×1プロジェクト」を中心に活動。ギャラリー21+葉 ギャラリイK ギャラリー16 gallery wks.など多数で個展。神戸などを中心にライブペイント活動も行う。
2008 7月22日
俺は奴がいなくなった間も東京にとどまってただ働いた。市井の生活の中で汚辱にまみれたかった。繊細さもぶち壊したかった。純情なぞうんざりだった。権力者にも隠遁者にもなりたくはなかった。それはあいつの言葉では汚れたと言うのかもしれない。そしてただ黙々と作品を作った。奴はその頃その女性と日本中を何年も旅し、農業や大工をやったり、浮き草のように放浪していたらしい。写真も本当にやめていた。そして彼女と一緒になり、二人の子供を作った。家族との濃密な生活こそ自分の純粋性の象徴だったようだ。しかし7年も経って再会したときには少しこころが痛んでいた。
実の兄とも縁を切った。友人で家族に紹介したのはセイだけだ。そんな風に言った。それからは頻繁に会うことになった。まるで昔に戻った気がして本当にうれしかった。絵本を描くと言ったときもうれしかった。創造する気になったんだと。しかしそれは家族への愛をうたった稚拙で幼稚なものだった。努めて冷静に指摘したが奴は逆上した。「俺はおれのことをわかってくれる人間としかつきあいたくない!」そこに至るまで他にもいろいろなことは受け流して来たが、作品を冷静に観れないということは、俺たちの間で決定的なことだった。終わったと思った。青春は終わった。俺たちの青春は終わった。しかしそれはもう7年前に終わっていたのかもしれない。
しばらくして俺は東京を去った。
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