それから

2009 3月14日

優作の「探偵物語」は夜の9時だった。内容も大人向けで小六の俺には少しヤバい時間だ。横溝正史シリーズは10時。内容は完全に大人向け。エロいし殺人シーンもリアルでドキドキしてみていた。11PMは大人の遊びをかいま見せてくれた。アメリカナイズされた東京の

。関西のイキを見せる大阪の

。競馬も釣りも巨泉が紹介してくれた。隠れてテレビに見入った。深夜にはオールナイトニッポンを聞いた。世間ではテクノポップ革命がすごくて坂本龍一を知った。そして大島渚が愛のコリーダで社会と戦っていた。坂本を通じて戦メリを見た。田舎だったので、市内まで自転車で一時間かかって二番館にジャッキーチェンを観に行った。50円片手にゲーセンのギャラクシャンやるために往復二時間かけて行った。地元では教師が張り込んでいてゲームが出来ない時代だった。高校で市内に行って名画座でゴダール、フェリーニ、黒沢、キューブリックを知った。漫画は手塚治虫、諸星大二郎、マカロニほうれん荘、つげ義春やガキでか。寺山修司も澁澤龍彦もATGも知った。まだレンタルレコードの時代でビデオも高額でレンタルはなかった。大学で東京に行った。最初に新宿で「ライムライト」を観たことを今でも覚えている。レンタルビデオが普及し始めた。友人たちと政治の議論なんて始めた。まだ法政大学には赤い旗が舞ってた。朝まで生テレビが始まった。原発反対で清志郎が暴れた。アート界はへたうまで溢れ帰っていた。バブルな時代だった。そして11pmが終わってハードなドラマよりトレンディドラマがはやった。渋谷系の音楽が台頭した。小室サウンドが一世を風靡した。三鷹オスカーがなくなって池袋文芸座がなくなった。新宿のジャズ喫茶が次々とつぶれた。バブルが終わった頃には大人の文化はすっかりなくなっていた。松田優作も死んだし、坂本も外国に逃げて、大島も映画を作らなかった。へたうまもへったくれもなくなった。日活ロマンポルノも、ジュリーも消えて、ジャズ喫茶もおしゃれな場所に変わった。憧れた大人の文化は大人になった頃にはなくなっていた。

それから俺は所在無さげに街をうろついている。