このサイトについて
画家。人を描くことを主体に活動している。インスタレーションなどのダイナミックな展示から小品まで幅広い展示方法が特徴。主にシンプルな素材で力強い作風で描き上げる。近年では様々な手法で新しい表現に挑戦を行なっている。
人と対峙して描く「1×1プロジェクト」を中心に活動。ギャラリー21+葉 ギャラリイK ギャラリー16 gallery wks.など多数で個展。神戸などを中心にライブペイント活動も行う。
2012 6月16日
マイバックページ。
前から観たかった。最近あの時代に活動してないのにあの時代を描こうとする人が出て来た。漫画家山本直樹のレッドやこの山本敦弘の映画マイバックページがそうだ。反対にあの時代を生きた人が語らない。そういう意味では若松孝二は本物だと思う。浅間山荘に続いて、アラタを主役に三島由紀夫を映画化した。あの時代の人があの時代を語らないのは評価が定まったからだろう。気に入らないねえ。若松孝二のほうが正しいと俺は思う。評価じゃなく。
この映画は実際にあった事件がモチーフだ。大上段に上げる正義の名の下に人を殺す。自閉した幼稚なあたまでっかちの集団。思い出すのは「翔ぶが如く」だった。西南の役、薩摩の連中だ。戦略もなくムードだけでクーデターを起こそうとした彼らは正しい戦略の前に破れた。武器も戦略もなくなった彼らはそこら辺の鉄を集めて鉄砲の弾を作り、いたずらに時を稼いで残酷な玉砕を行った。太平洋戦争もそうだ。学生運動も同じ。オウムも同じだ。構造はまるで変わってない。
それはいいとしてこの映画は主人公の惨めさが焦点だ。学生運動に乗り遅れた記者の卵。結局それは惨めなままで終わってしまう。しかしそれを捉えたキャメラは一言で言って信用出来ると思った。じっくりと人の様を捉える視点。それでいてオーソドックスなものでもない。新鮮な何か。この記者の惨めさと今を生きるの青年の感覚は近い。
これは決してあの時代を描写しようとしたものではない。
一覧へ戻る