太陽の墓場

2008 8月2日

イライラする。多分環境のせいだ。世間じゃそれを押さえ込もうとする。そうではなくてこれは何か大事なさきぶれだと考える。

そんなわけで改めて西成区、飛田新地あたりに行った。今回は場所を求めていると感じたのだ。ここは中国を思い出す。新世界はすっかり観光地だがここは違う。「覚せい剤取り締まり月間」の文字がリアルだ。小便の匂いがする。上半身裸の老人たちが座り込む。大勢の男たちが路上で雑魚寝している。いきなり缶ビールが飛んでくる。屋台がある。犬が放し飼いだ。土佐犬やドーベルマンがうろつく。缶ジュースが50円だ。一泊1000円の宿。銭湯が多い。そして売春宿。なんだろうねあれは。驚いた。屋号みたいな文字「川上」やらなんたらとかいう文字がそこらにあって、開け放たれた入り口奥に女が座っている。ライトアップされてけだるそうにこっちを見ている。ねえ、おにいさん。まるで江戸の遊郭じゃないか!とてもあんな女抱けないが、圧倒された。ここは時間が止まっている。高いビルが建っていないので、夕焼けが見える。「太陽の墓場」という大島渚の1960年の映画で、暴動前の西成釜ヶ崎で実際にロケされた作品がある。ギラギラした熱気漂う作品で大好きな作品の一つだ。バラックの小屋から見える通天閣。廃墟のビルから見下ろした戦後の荒廃した風景と赤すぎる落ちてゆく太陽。そしてそのときと同じ血のように赤い太陽が同じ場所に沈んだ。