猫騒動

2009 6月20日

うちに猫が来た。嫁さんの実家から一時預かるということでやって来た。幼い頃飼ってた以来なんで不安だった。

メスの年寄りの雑種。これが思いのほかおとなしいけど、なつかない。トイレは決められたとこできちんとやってくれるのはえらいが、昼間ずっと押し入れに隠れている。夜中に人が寝る時間になって活動する。アトリエは封鎖した。紙の作品が多いのでなにをするか怖い。また、そこを狙ってガリガリと開けようとする。こら!しばらく攻防が続いている。最初緊張してメシも食わない。嫁さんが心配してる。そんなもんいつか食うって、食わんかったら死ぬだけ!と言うが、永い付きあいらしく、気持ちの掛けようが違うようだ。でも動物ってのはそういうもんだろ?とこっちは思ってる。耳の後ろを掻いてやると位置をどんどんズラしてすりつけて来る。ここを掻けと言わんばかりだ。ことが終わると、プイとどっかに行く。よく見てると机の角にもこすりつけてるので、俺は机の角と大差はないんだろう。押し入れに呼びにいくとシャー!とかぬかしやがる。おまけにゲロを吐いた。…ったく。朝方また耳元で鳴く。なんなんだ、おまえ。どうもベランダに出たいらしい。朝もやの中神戸の町並みがぼんやりと浮かんでいる。それを呆然とした雰囲気で眺めている。ここは北野の坂の上の五階だ。かなり高い。団地の二階から外に出入りしていた状況とは各段に違う。こいつなりにこの状況をとらえようとしてるのかな、と思う。えらいとこに来た、と思っているのか、こんなとこから外に飛び降りるのは無理だと、愕然としているのか…。しかし人間の都合でこんな場所に突然連れて来られたのは不条理だろうなあ、なんてことを考える。まあどんな条件でも生きてゆかねばならない、ノイローゼになってる暇はないんだ。にゃんこ!..そんな難しいこと考えてないか。(笑)けどなにかしらそんなことを考えてしまう、神戸の劇的な朝もやの町と悲哀のこもった猫の背中だった。