直接描く

2010 6月14日

どうにもらちが明かないので、直接母を描きに帰った。写真だとどうにもならない。

思うに写真をもとに描くと、写真をなぞるだけで終わる。その写真が作品として成立しているからだろう。唯一いいところは微妙な瞬間の表情を止めることができる。その瞬間の表情が面白い場合がある。むろん写真は作品になってないほうがいい。しかし受けるエネルギーも情報も繋がりもなにもかも弱い。頭で描くと同じ顔の絵になる。大きく入れて大きく出すことに意味がある。

まずはじめにインタビューを試みた。インタビューは大きく三つの質問を行った。一番辛かったことはなにか?一番喜びだったことはなにか?人間の幅とは何だと思うか?詳しくは書けないが、辛いことも喜びも子供のことだった。幅の部分では仕事のこと交友関係のことを話してくれた。自分の生き方の部分だ。単純に人間を上と下、横の軸にして考えて聞いてみたわけだ。自分の母親という部分も消して、無心で受け止めることに徹するように努めた。改めて伺うのは生まれて初めてに近い。父も死んでいるので自分の親にこういった質問をするのは貴重な経験だったし、そうだったのかと思い知らされた。

そのあと絵を描いた。以前は木炭で描いたが、今回は本番に近い墨で描いた。 目を直接見ながら絵を描くという行為は、親子でもかなりの緊張がある。まだまだ物足らなかったが、緊張感のない絵が増え始めてやめた。

結局2日に分けて絵を描いた。