瞳の傷

2008 9月2日

人の姿形は変わる。

自分も変わった。浪人時代肩まであった髪は、毛根の弱体化とともに短髪になった。まあ体重も10キロほど増えてすっかり中年体形だ。でも一番変わったのは目かな。子供の頃はあどけない瞳をしていた。それが10代の頃、獣のような吊り上がったまなざしをしていた。体重もやせていたので余計だ。それは10代が怒りと悲しみに満ちていた頃だったからだ。根が繊細だったから、平凡に暮らしていれば、どこにでもいる今どきの優男だっただろう。過酷な環境が自分を変えた。よくも悪くも俺は鍛えられた。それでもその頃のまなざしは痛いくらい鋭くて、嫌で嫌でしょうがなかった。生徒手帳に貼られた写真。自分の顔の瞳の部分に傷を付けたことを、今でもはっきりと覚えている。

あれから随分時が経った。

俺の目つきも少し変わったかもしれない。それでもあの生徒手帳の傷つけた写真のことが、ぼんやりと浮かぶことがある。