自分の仕事

2015 3月31日

なんかですね、振り返ると。

現代美術の世界にながくいましたが、ずっと違和感があった。身近で有名になった連中がいたので美大の流れで入り込んだが、妙に難しく考えさせられることを強制されてしんどかった。まあそういう人も多いだろう。トンがった若い奴らが油彩や日本画より現代美術を目指すのはまあ普通だった。

30代になって集中的に展覧会もやったが、観客との違和感はずっとあった。反応が人によってあまりにも異なるのは自分のようなタイプには苦痛だ。アジア最大のアートフェスも行ったし、NYのチェルシーの世界最大の画廊街もまわった。稚拙で程度が低く気分が滅入るだけだった。どうもこの美術界というものが問題の元凶と判断し、今のように顧客と制作者を一対一で結ぶことが一番自然と思い実行に移した。観客が変われば作品も変わった。考え方自体が変わった。今では現代美術の作品がずいぶん遠い感じに思える。一番近いのは東西の古典絵画だ。若い頃進もうとした映像の世界に近い感じもするが、中心に絵画がある意味は大きい。それは映像にそのまま進めばなかっただろう。文章と写真、絵画。それに自分を使った方法だ。しかしなにより自分が一番求めてたのは、他人との密接な関わりだった。

今が一番自分に合ったことをしている。誰にでもわかりやすく、しかも深い。

自分にしかできないことだ。

結局個性の正体は、一番身近にある単純なことだった。