荒俣宏の本

2006 7月18日

久しぶりに荒俣宏の本を読んだ。決戦下のユートピア以来だ。「20世紀の妖怪の正体―共産主義とは何なのか」。おまえが妖怪だろ、と思わず突っ込みたくなるけどまあいい。なかなか興味深かった。共産主義は今はすっかり独裁政権の社会になっているけど、基本的にはユートピア思想だ。まあ所詮絵空事だから、実際にはああなる。

民衆蜂起の革命なんて日本であるのかなあ、なんて思う。明治維新も武士がぐちゃぐちゃやって出来た革命だし。突然仏教が駄目とか、姓を名乗っていいぞ、なんて言われてああそうですか、とか言ってる間に戦争とか始まって調子に乗ってめちゃくちゃになる。赤軍の連中も最後まで民衆の革命が起こると信じてたみたいだけど。んなわけない。

それはそうとその本の中で実際に行われた、労働者の生産向上のための実験が記載されていた。幼いうちから働く子供たちを親から引き離して教師によって教育する。環境によって人間が変わることに着目し、結果的には生産性の向上につながった…。これは西側での実験らしいけど現実に日本では成功した方法論だ。給食の配給でカロリーのコントロールを促し、安定した健康体の労働力を得る。なんか恐ろしくなってくるが、この理屈は今の隅々にまで応用され現実化している。そこから過労死まで一直線につながる。