人中

2019 2月15日

人中。

にんちゅう、じんちゅうとも言う。鼻の下の筋のことだ。犬や猫の濡れた鼻の間に筋が入っているが、それが退化したものと言われている。みつくちの子どもとかはこれが遺伝子の変異でくっつかないものらしい。まあ、とにかく普段気にも留めないところも目が行き始める。

難しいのはそうやって人体を機械のように観察してゆくことと、その人個人を追求してゆくのではまた異なってゆく。自分はもちろん機械を描きたいわけではなく、人間そのもの、個人そのものを深く掘り下げたい。それには造形的な面が一致しているのは当然だが、ポーズや表情に表現される。そこに光の陰影が演出として加わってゆく。もちろん服装などもその一つだ。そこは背景にある物語をどう表すかということになる。

技術的な問題はその主題を最大限に生かすためにあるべきだと思う。油彩が絵が主体というわけではない。そうなると写真でもいいではないか、と言われそうだが、そうではないんだなあ。自分で再構築することは大きな意味があると実感している。幸い専門のかた以外でそういった指摘を受けたことはほとんどない。一般の方はそういう見方をしていないし、時代もそういう識別をする時は過ぎたと感じている。まあしょうもない絵が多過ぎて、自分にはできない技術を見たいということは必ずあるし、他のジャンルはそうなので絵画だけがそれを主張するのは無理がある。

見応えがあるものを作りたい。