小山 明子さん

2015 10月8日

描きたい人を描きたいということで、勝手に詳しく知っている人を描こうとある人に頼んだ。

真っ先に浮かんだのが映画監督の大島渚だった。彼の作品には大きな影響を受けて映画も本も繰り返し観た。しかし彼はもういない。だから意を決して婦人の小山 明子さんにお手紙を送った。文面には小学時代に遭遇した愛のコリーダ事件、中学時代に出会った戦メリの衝撃。ヨーロッパ放浪中に観た無修正の愛のコリーダ。学生映画祭時代に大島さん本人に交渉依頼をしたこと、妻との出会いのきっかけになった御法度。収集した蔵書の数々、そんなことやら書き、自分の作品のコピーも含めてずいぶん分厚いものを送った。驚いたことに返事はすぐに来た。小山さんご自身の本二冊とお写真、うれしかったです、と達筆の文面が書かれていた。じっくり読んでご返事を書いた。さらにご返事が来て関西に講演に行くのでそこで、と書いてあった。

大島渚の愛した女性がそこにいた。

毅然として語る小山さんは年齢を感じさせない若さと強さがあった。そして彼女もやはり大島渚と同じだった。この人もなにかと戦って来た人だと思った。

目の前でお会いした彼女は、目を開いて凝視して「あなたが手紙の方?」と言った。