ものがたり

2011 12月4日

大学一年の夏友人のKの家に遊びに行った。

そこは八王子の緑荘という学生ばかりいるアパートで、Kはそこら辺の学生とつるんでにぎやかにしていた。Kの隣の部屋に女性がいた。Kもほかの男も彼女のことが気に入ってた。素敵な女性だった。俺も彼女のことが好きになった。kが目を離した隙に俺は彼女とつきあうことになった。「いい男といい女がつきあうんだから仕方がねえな」と笑いながらkは祝福してくれたが、実際には辛く悔しかったことだろう。隣の部屋というのも問題だった。後ろめたい気持ちもあったし心配もあったんだろう、俺は彼女の部屋に入り浸った。無理に一緒にいると好きなのか嫉妬しているのかわからなくなった。そのうち自分のアパートに近い部屋を彼女が借りたりしたが、それ以降も仲の良い二人に嫉妬もした。あの頃は愛情と嫉妬が同じ位強く、恋愛とは重たいものなんだなと思った。ひょんなことで会った母も一目で彼女を気に入った。友人の誰に会わせても彼女を素敵だと言う、そんな人だった。結婚を望んでいた彼女も努力はしてくれたと思う。実家の名古屋に帰って遠距離が続いた。やはりそれは俺の心情を察していたからだろう。あることがきっかけで別れたがやはりkとの嫉妬が原因だった。別れたときは本当に辛かった。

別れてから一度連絡があった。一生忘れないから、と俺は言った。向こうも忘れないと言った。その後に、だから二度と連絡をするなと言った。

なんで連絡をして来るの。

そういった自分の言葉は苦しくて絞り出すようだった。