山登り

2011 10月12日

前から観たかった映画「劔岳 点の記 」を拝見。前人未到の剣岳の測量に取り組んだ陸軍参謀本部陸地測量部の苦難の登頂を描いた映画だ。

なんか自分のやってることも似てるなあと思う。人間描くのはそうだ。以前素潜りの漁師が魚を捕まえる直前に息を殺し自分の気配を消す瞬間を見た。あれだ、と思った。俺もあれなんだ。山も大自然に囲まれちっぽけな自分を出しても通じない。冷静に果敢に別の道を探し、開拓して頂上に進む。熱くなると死ぬ。絵もあんまり気持ちが入ると描けない。考えると臆病になる。筆は正直だ。この辺りも登山に近い。ハートは熱く頭はクールにしないと、ほら崖だ。昔は山に登る奴なんて馬鹿だと思ってた。馬鹿は俺だった。

人の顔は山に似てるなあと思う。小高い山もあれば険しい山もあるクレバスまである。顔ってのはそういう風に見えて来る。

映画の登場人物が知らぬ間に自然に対して謙虚になってゆく様が滲みた。大きな自然の前には誰もが無垢になる。多分自分もそうなんだろう。人間と言う自然の前で、無垢になってゆくからだ。