溝田さん1

2011 9月12日

溝田さんに再会した。およそ15年ぶりだろうか。

彼と初めて出会ったのは松山の道後温泉だった。温泉で有名な静かな町で夏の暑い盛りにその男を見た。人気のない道の真ん中で半裸の男が赤いカヌーを持って立っていた。なんだあいつは?それが最初の印象だった。そしてなぜか歩く方角も同じだ。彼は俺と同じ松山ユースに泊まっていたのだ。部屋は違っていたが漫画室にその男はいた。引き締まった体にするどいまなざし。はやしまくったヒゲ。そしてなんといっても獣のような猛烈な体臭!塩なのか汗なのかわからない異様なにおいに圧倒された。そのあと食堂でひょんなことで話すことになったが、これが愛嬌があっておもしろい!話は楽しいしとても惹かれた。その話の中で彼が徳島の人でカヌーで瀬戸内海を渡って松山に来た事が分かった。海の上の生活で人に餓えていたこと、猛烈に話がしたかったことがわかった。そしてアフリカをカヌーで横断していたこと、そこで知り合った男と俺が似ていると言った。ところでどこに住んでいる、という話になって東京ですと言った。「僕も東京なんだよ、おもしろいとこがあるから今度来ないか?」そんな話になった。