遺作

2011 7月23日

青山には行けなくて遺作を観て来た。

そういや昔を知らない子に今で言えばどういう人と言われたが、そんな人はいないのだった。みんなこの人のマネをした。アウトロ-といえば、原田芳雄。漫画でも何でも真似られたほど彼のイメージは強烈だった。初期の

のイメージが強いんだろう。

似合う奴いないぜ。よれた長い髪にレイバンのグラサン。引き締まった裸にそのまんまコートや革ジャンを羽織りくわえ煙草を吹かす。

の頃は42歳か。なるほど脂がのっていたわけだ。松田優作は作ること意識することに重きを置いていたと思う。それがスリリングでかっこよかった。

今はその良さがよくわかる。結局このひと遊んでるんじゃないか、無邪気なままじゃないかと思っていたら、自宅に「遊」の書の文字が!江口洋介にも「芝居は真剣にやるな、遊べ」と言っていたらしい。やっぱし。

遺作「山鹿村騒動記」にもその姿勢は貫かれている。ぶっきらぼうで乱暴だけど心やさしい味のある男。もう毒を放っていた頃とは違う、ありのままの遊び。ただ生きることを見せる。そしてこの映画には阪本監督の原田への愛が詰まっていた。劇中劇に「陽炎座」「ツィゴイネルワイゼン」の大楠道代を出演させているのは偶然ではない。あの野太い声、立ち振る舞いは何も変わっちゃいなかった。阪本監督の思い。「この人を死なせるもんか。死なせてたまるか!」そんな思いが伝わるようだった。しかし死んだ人間が目の前で生き生きとしてるなんて、神様も粋なことしてくれるじゃねえか!

見事な男だった。