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画家。人を描くことを主体に活動している。インスタレーションなどのダイナミックな展示から小品まで幅広い展示方法が特徴。主にシンプルな素材で力強い作風で描き上げる。近年では様々な手法で新しい表現に挑戦を行なっている。
人と対峙して描く「1×1プロジェクト」を中心に活動。ギャラリー21+葉 ギャラリイK ギャラリー16 gallery wks.など多数で個展。神戸などを中心にライブペイント活動も行う。
2010 10月12日
街には二階建て以上の高い建物はなかった。
ひさしぶりに友人と神戸に立ち寄ってそんな風に思った。血迷ったことに坂の上の高層マンションにも一度住んだ。育った高知の田舎街には幼いころ高い建物はなかった。結局今だって二階に戻った。
高層ホテルのラウンジから街を見下ろした。夜は街の明かりがひどく落ち着いて見える。この街を離れて一年が経った。かえって愛着もわいたし、久しぶりだと新鮮にも思える。 いろんな街の夜景を眺めたけど神戸の夜景は最高だった。街には臭いがある。高い場所に行くと一番にそんな嗅覚から遠くなるようだ。それが奇妙な浮遊感と恍惚を生む気がしてしょうがない。友人はスコッチを飲んだ。俺はギネスを頼んだ。友人が頼んだドライフルーツとの相性は微妙だ。
「人間の証明」を読み終えて、未だに読んでいなかった「青春の証明」を読み始めた。自身の罪を償うために刑事に転職した男の話らしい。すべてを懸けて意地を貫き通した男を描いた小説とのことだ。まるで、誰かみたいじゃないか。そんなことを自嘲気味に思う。
ふと別れた友のことを思い出す。いや、その言い方は違うな。あいつのことは忘れたことがない。今は連絡先もどこかに行ってしまった。なあ、今おまえはどこでどうしてるんだ。
佐々木中行。
おまえのことは一度も忘れたことがない。
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