雨ニモマケズ

2010 5月11日

陽水の「ワカンナイ」が宮沢賢治の「雨ニモマケズ」のアンサーソングとは知らなかった。

雨にも風にも負けないでね

暑さや寒さに勝ちつづけて

一日、すこしのパンとミルクだけで

カヤブキ屋根まで届く

電波を受けながら暮らせるかい?

日照りの都会を哀れんでも

流れる涙でうるおしても

誰にもほめられもせず、苦にもされず

まわりの人からいつも

デクノボウと呼ばれても笑えるかい?

君の言葉は誰にもワカンナイ

慎み深い願いもワカンナイ

明日の答えがわかればつまんない

君の時代のことまでワカンナイ

馬鹿にしてるみたいで思わず笑った。確かに俺にもワカンナイからだ。空想ばかりの馬鹿なヒューマニスト。賢治は確かにそんな印象だった。

しかしその後、賢治のこの詩が死の迫った床の中で手帳につづったものであることを知った。肺炎のからだで「丈夫ナカラダヲモチ」たいと願ったのだろう。確かに彼は詩の間際まで懸命に働いていたようだ。そしてそれがひとりごとのメモだったのなら、その思いに嘘はなかったかもしれない。

まわりからは馬鹿だと思われても、賢治はひとつの生き方を生きぬいた。

雨ニモマケズ

風ニモマケズ

雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ

丈夫ナカラダヲモチ

慾ハナク

決シテ瞋ラズ

イツモシヅカニワラツテイル

一日ニ玄米四合ト

味噌ト少シノ野菜ヲタベ

アラユルコトヲ

ジブンヲカンジョウニ入レズニ

ヨクミキキシワカリ

ソシテワスレズ

野原ノ松ノ林ノ蔭ノ

小サナ萱ブキ小屋ニイテ

東ニ病気ノ子供アレバ

行ツテ看病シテヤリ

西ニ疲レタ母アレバ

行ツテソノ稲ノ束ヲ負ヒ

南ニ死ニソウナ人アレバ

行ツテコハガラナクテモイヽトイヒ

北ニケンクワヤソシヨウガアレバ

ツマラナイカラヤメロトイヒ

ヒデリノトキハナミダヲナガシ

サムサノナツハオロオロアルキ

ミンナニデクノボートヨバレ

ホメラレモセズ

クニモサレズ

サウイウモノニ

ワタシハナリタイ