存在

2009 1月21日

田中泯(たなか みん)はドラマ「ハゲタカ」でこんな役をやっていた。

外資のファンドに買収される危機にあう日本を代表する会社があった。戦後の焼け跡から社長身一つで作り上げた、いわば松下のような会社だ。カリスマ経営者は末期がん。ハゲタカファンドに食い破られる直前だ。その会社の創業からの部門、レンズ研磨事業部での特級技術者、レンズ研磨のプロフェッショナル。それが田中泯演じる加藤幸夫だ。カリスマ経営者大木昇三郎は菅原文太が演じている。菅原文太と田中泯の二人が語り合うシーンは印象的だ。役者っていうのは演技の技術云々より、人間そのものの魅力がどうかにつきる。そういった意味でのこの二人のやり取りは重く、深い。このドラマはほかにも宇崎竜童 、松田龍平、柴田恭兵、永島暎子、中尾彬、志賀廣太郎、嶋田久作、 大杉漣、大森南朋などシブい役者が多い。特に大森南朋がいい。

田中泯のような人間は存在そのものが表現と言える。こう言った人間が役者として別の側面に脚光が当たるのは素晴らしい。こうやって俺みたいな人間も彼を知ることが出来た。

彼がドラマのなかで、自分が率いている若い人たちに語る場面が好きだ。一つ一つ、言葉を味わい深く、絞り出す。

説得力という言葉はこう言った人間にふさわしい。