泥棒日記

2009 1月12日

60年代の若者の争乱や文化をとらえた映画で、印象に残るものが二本ある。 寺山修司の「書を捨てよ街に出よう」と大島渚の「新宿泥棒日記」だ。個人的には「書を捨てよ街に出よう」が好きだ。彼の詩情、激動の時代、見せ物としての面白さが詰め込まれている。同じ新宿を舞台に展開しているが「~泥棒日記」は1969年、「書を捨てよ~」は1971年の作品だ。カメラマンも一緒なので比較としても面白い。大島渚はああいう風に個性が強いが、作品の接しかたは真逆でニュートラルな位置に自分をおいている。ここでの唐十朗や横尾忠則なんかの暴れっぷりは面白い。最後は実際の新宿暴動がドキュメントで乱入する。まあどちらも時代の空気や熱気がむんむんと溢れている。

先日「肉体の門」をテレビでやってた。戦後の闇市で生きる売春婦やその他様々な人間模様を描いている。五回も映像化されているけど、テレビ化は初めてだ。1948年、1964年、1977年、1988年にそれぞれ映像化されている。20年ぶりの映像化なわけだ。今の時代があの頃に近寄ったのか何か知らないが、こういった企画自体に変わりゆく世相を見る。嘘みたいな時代が続き過ぎたんだ。フワフワしたもんなんか消えてしまえばいい。俺はもっと強いものが見たい。