友人

2009 1月3日

田中家がおうかがい出来ず、ある男と二人で飲むことになった。小学校三年くらいからの付き合いだから30年以上だ。鋭い感性と斜に構えたものの見方、突然走り出すと止まらない攻撃性。俺も本人も持て余すなにかを抱えた男だった。危険だが魅力のある男。当時は二人で漫画家になるなんて言ってた。

成人してからもつき合ってはいたが、気まぐれさと勝手さがだんだんと俺も面倒になっていった。彼は普通の仕事をして妻子も持った。もう俺とは関係ないなんて思ったが、俺の結婚式に呼んだあたりから少し変わった。向こうから連絡が来るようになった。そんなことは高校出たあたりからなかったのに。さしで飲むのはなんと初めてだった。

いろいろな話をした。家庭のこと、仕事のこと、世間のこと。お互いに歩いて来た年輪みたいなものが、新鮮だった。どちらかが止まってたらおもしろくなかっただろう。ヤツの棘みたいなものが随分なくなっていい男になっていたと思う。仕事も含めて、愛したり愛されたりしたことが、自信になっていた。うちの母も本当に幼い頃から知っている。少し挨拶をしたとき「変わったね。精悍な顔立ちになった」そんな風にいった。

俺も本当にそう思った。