芸術家の孤独

2008 10月14日

芸術家の孤独なんて信じていない。

画家や芸術家が孤独だった時代はあまりない。ルネッサンスの時代は工房だし、ミケランジェロもダビンチも競合して成長した。日本絵画は徒弟制の工房が主体だし、浮世絵は共同作業だ。ピカソもいろいろな人々と戦い合っている。なによりモデルとの格闘がすべてだ。芸術が花開く時代は必ずいいライバルと成長してゆく。印象派、シュルレアリスム、ニューペインティングいずれもだ。近代になって個性を孤独や自閉に勘違いした奴らが、ひとりよがりの作品を量産し始めた。競合がないので質は落ちるし、個性すらない。やはり画家が孤独だという神話はゴッホの物語が大きく影響している。

ゴッホが孤独だと思う?彼の人生は激しく孤独だが、作品は誰よりも豊かだ。浮世絵との対話があり、なによりアルルの豊かな風景との対話があった。彼の筆は豊潤な自然を激しい感情によって定着させた。誰にも出来ない方法で。だからゴッホの作品が孤独だと思わない。麦畑の黄金、糸杉の曲線、夜空の青、そのすべてが幼児のような彼の目を通して輝いている。

だから本当の孤独は何も生み出さない。