ノーカントリー

2008 8月18日

期待していた「ノーカントリー」をやっと観た。

コーエンは得意じゃないけど、これは観たかった。あの殺し屋シガーがあまりにも印象的だったからだ。僕は好きです、これ。シガーが脳裏にずっと残る。解釈はいろいろできるが、感覚で納得できたのが大きい。逆に感覚で納得できないと信用しないことにしている。これは人間観でもおんなじ。今度は「there will be blood」を観たい。トーマスアンダーソンがついにやったか、と思っている。「マグノリア」は構成がうるさすぎて入り込めなかったが、今回は直球の傑作の予感だ。「バベル」のイニャリトゥ監督も「21グラム」が傑作だった。CNN時代の世界観で今を切る作家。こいつも相当に濃い。(笑)メキシコの作家というのも新しい。これらの作家の作品、時代の匂いとして、肉や土、血の香りがする。日本の映画が90年代以降、新しい匂いを発していないのとはえらい違いだ。

アメリカ映画でこのように暴力や性を真正面から捉えた映画が、正当に評価されていると言うのはすごい。反対に今、日本映画で暴力を真正面から捉えた映画、作家、俳優がいない。今村昌平、大島渚、若松孝二、らどれも今の作家じゃない。それが日本の病でもあるし、日本映画文化の今でもある。NO COUNTRY FOR OLD DIRECTORES…