晋作

2008 6月29日

高杉晋作が好きである。

有名だが意外にひととなりは知られていない。長州に活動が限定していた、というのが理由だが、長州を世界的な国にしてやろうともくろんでいたのだから仕方がない。機を見るに敏な、というのはこんな奴のためにある。当時は時勢が右から左へ瞬時に変わる。祭り上げられていたと思えば、斬られる。それゆえに彼は脱藩、首相代行の外交官、投獄、奇兵隊のクーデターの司令官、脱藩、亡命、幕府打倒の軍事司令官、などのように国を出たり入ったり、地位が上がったり下がったりしている。まるで役者が舞台に飛び出るかごとく、ドンピシャのタイミングで現れては去ってゆく。地位と言うものに全く無頓着でどんどんと役を変えてゆく。僧侶になったり政府の高官になったり遊び人の伊達男になったりする。

おまけにこの男は粋で酔狂だ。自分が死んだら「墓の前で芸者を呼んで大暴れしてくれ」と言ったり、侵略した村に入るときに三味線をかき鳴らし踊りながら兵士に入らせたり、敵から逃げるときに大判小判をぶちまけて金を拾ってる隙に逃げたりする。詩人でもあり携帯三味線をかき鳴らしていた。死ぬ寸前に芸者遊びに勇んで出かけようとしたのは笑える。辞世の句は「おもしろき、こともなき世をおもしろく..」ということばで終えている。こいつはかったるい世の中を疾風怒濤で駆け抜けた最高の男だ。